今日はつげ義春のマンガ『古本と少女』を取り上げた。今回の作品は、深読みというよりはテキスト通りに読む学生が多かった。今まで取り上げてきた作品のように、あからさまな表現ではない所にこの『古本と少女』の隠された意味や秘密があるのではないだろうか。最後の少女の手紙を学生たちに脚色してもらったが、中には即興とは思えないぐらい、リアルな表現もあり教室が活気付いたのを感じた。(TAS・五十嵐)
【学生の声】
あれが1000円じゃなくて100万円だったら?学生が好きなのが本じゃなく少女だったら?あのお金が本を買うためのお金じゃなく、二人が結婚するための資金だったら?少女の父親が資産を主に彼の結婚相手を選ぶ人なら?“お父さんにナイショ”ってのもわかる気がする。(文芸学科一年 飯島哲也)
今回の作品は今までのものに比べて絵がきれいだなぁと思いました。あと「しゃ線」がたくさんつかわれているように感じました。内容は今までの二作品に比べ奧に隠されているものが、はっきりしない様に思いました。私も、手紙はあとづけだと思います。(演劇学科二年 渡辺百桃)
この授業をきっかけにつげ義春のマンガをたくさん読むようになった。その中でも今日取り上げた『古本と少女』は少しの怖さはあるものの不吉さはあまり感じさせないさわやかな作品だ。いつも不吉なことを描いていては気もめいろう。少し安心した。(文芸学科一年 角朋美)
最終的にこの少年は欲しかった本も1000円もゲットして、なんてラッキーボーイなんだと思いました。少女は少年に盗みを働かせたかもしれないけど、彼はこの一体で大きく成長したと思うのでハッピーエンドです。(演劇学科二年 安藤裕美)
今日の『古本と少女』は図書館で読んで知っていたのですが、改めて読んで「なぜ手紙をはさんだのか?」を考えてみました。少女は大学生に自分の存在に気づいてほしいと思ったのではないか、と思いました。本に夢中で自分には気づいてもらえない。その状況を打開するには、その本を手に入れさせる手伝いをすることだと少女は考えて、手紙をはさんだのだと思います。乙女心は難しいというものですね。(映画学科二年 高橋茉由)
古本と少女について、少女が少年に恋してたとして手紙を入れて自分を主張したのは自分を意識してほしい。もっと言うなら恩に着せて好意を持って欲しい。「買いに来て」なのはこの本を買ったらもう来なくなるのではという思いから。しかし少年の思い浮かべる少女の顔が曖昧であるのは少年は本しか見ていない、つまり少女の完全なる片思いであるということかと思った。少女は悪だという話の流れでは少年は本は欲しい金はない罪悪感も感じたくないという流れになっていたので、ギブアンドテイクの精神的にもひどいなと感じた。(映画学科二年 床本典子)
女って生き物は怖いですねぇぇぇ…… 自分も女だけどこんな怖い要素を心の中に持ってたりするのかな?? 嫌だなぁぁぁ……(文芸学科一年・藤森晴香)
つげ義春の描く女性は悪魔的で、エロチックだと感じる。毎回。(文芸学科一年・北條寛之)
私は今回の授業中に出た意見の中で“少女が純粋であるが故に〜”という考えにとても共感できました。ので、少女が少年をけしかけたという考えに少しうなずけなかったです。(映画学科二年・清水里子)
最後の手紙が悪魔の囁きにしか聞こえないです。。。「この本あげる!! 出世払いで良いから!!」くらいが丁度良いと思う。(文芸学科一年・新井優)
結局、この「古本と少女」でつげ義春が言いたかった事というのは、単なるほほえましい日常の出来事なんかではなく、男と女のあいだに生じる人間ドラマだったのかもしれない。そしてそれは、つげ義春作品全てに言える。(美術学科四年・川名祐輔)
つげ義春さんの作品は、何も考えずに作品として読もうとすれば、人間らしさ(臭さ?)の中にある昭和独特の匂いや庶民っぽさに、どこか哀愁や温かみを感じます。しかし、今の授業内で作品を読みこみ、自分なりに考えて再構築をしていくと、今回の古本と少女は最後のシーンの青年が本を抱きしめているシーンでバックの少女の顔が暗いのが全てを物語っている気がしました。(放送学科一年・長尾江莉奈)
手紙の最後にでも「いやな女だと思わないで下さいね」とか書けばよかったのに、と思いました。女はけっこう気がきかない自分勝手な子だと考えました。(文芸学科一年・馬場嘉淑)
さいごのコマの学生の笑顔はきっと本もタダで手に入ったし、1000円も手に入った笑顔だと思う。女の子が恋心をいだいていたからかわいそうだと思った。「手作り最中」が気になる。(演劇学科二年・細野まどか)
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