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「ZED」を観る(連載19)
「ZED」のガイドブックより。
「ZED」を観る(連載19)
(初出「D文学通信」1216号・2009年08月23日)
「Souvenir Program」を読む(その17)
清水正
衣装とアーティストの身体が調和し、
華麗でスピーディな迫力ある演技を可能にしたこと、
これは衣装デザイナー、
ルネ・アプリルの大いなる功績と言えよう。
ルネ・アプリルは次のようにも語っていた。
衣装にある遊び心は、決して茶化しているわけではありません。私は観
客を遙かな時代へ連れだしてくれるような作品が好きですが、その時代を
忠実に再現することよりも、それをどう解釈していくかということに重点
をおいています。
この言葉もわたしの心を快くさせる。ルネ・アプリルは衣装をデザイン
するにあたって〈遊び心〉を存分に発揮している。彼女が目指しているの
は〈再現〉ではなく、独創的な〈解釈〉である。演出家から提示された根
本的なヴィジョンを了解し、インスピレーションを共有したクリエイター
に求められるのは、その専門領域での独創的な〈解釈〉である。
彼女が作りだした〈青〉〈赤〉〈黄〉〈白〉〈黒〉を基調とした大胆で
簡潔なデザインは、照明を当てられた時にも、そうでない時にも、独自の
輝きをもって観客の眼に焼きついた。その衣装は確かに今、この現実では
ない「遙かな時代」へと連れだすと同時に、ルネ・アブリルの想像裡で生
まれた現代的な感覚を存分に盛り込んだものとなっている。
「ZED」のアーティストたちの動きはスピート感に溢れており、衣装
はその速度に耐えられる素材とデザインが要求される。衣装はアーティス
トたちの演技をいささかでも阻害するものであってはならないし、照明が
当たった時に、観客の眼にあざやかに印象づけられる色彩と形でなければ
ならない。「ZED」はアーティストたちのスーパー演技の迫力もさるこ
とながら、彼らが身につけた衣装もまた独自の〈主体性〉を存分に発揮し
ていた。「ZED」は世界各国の超一流のアーティストたちによるファッ
ション・ショーのごとき舞台であったことも確かなのである。
縦線と横線、さらに二つの線が曲線となって〈縦〉と〈横〉の融合が図
られている。二つの世界を一つに結びつけるという「ZED」の根本ヴィ
ジョンが衣装に鮮やかに反映されている。演出家のインスピレーションに
沿いつつ、独自のアイデアを衣装にまとめあげたルネ・アプリルの独創性
は見事に結実している。
2009年8月22日
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