マンガ論第十八回講義
すごい小説を発見した。
村田沙耶香「ギンイロノウタ」。
読んでいる間中後頭部がぶるぶると寒くなる感覚に襲われ続けた。こういう体験は、どんな日常を書いてもなぜか薄気味悪い怖さがにじみ出てしまう漫画家・山岸涼子の作品を読んだ時以来だ。…女の子(=化け物)の成長ぶり、これがストレートに生理に訴えかける。…物語後半、「私」が自らの「化け物」としての使命を明確に意識する場面で発する言葉などは、本当に声が聞こえてくるかのようであった。恐ろしい。村田沙耶香はホンモノだ。(「文學界」2008年8月号 山下聖美氏)
今日は、村田沙耶香著『ギンイロノウタ』を、後半では、先週から引き続いてグリム童話『ヘンゼルとグレーテル』を取り上げた。『赤ずきんちゃん』の時と同じで、実は恐ろしい秘密が隠されている。読めば読むほど、グリム童話のさりげない言葉に人間の本質が現れているのがわかるので面白い。刷り込みとまではいかないが、大人に故意に読まされているのだとしたら怖い。(TAS・五十嵐)
【学生の声】
『ヘンゼルとグレーテル』はおかしの家というかわいいイメージが先行してそのお話の本当の意味、怖さに初めて触れました。先生のものの見方は斬新で、とっぴょうしがなくいつも驚きと発見の連続です。こんな楽しい授業はないですよ。(演劇学科2年 安藤裕美)
『ヘンゼルとグレーテル』は本当は怖いグリム童話がはやった時に読みました。なんか違う話だったのが印象的で二人は恋仲だったとか…。死んでた説は初めてで、本当先生のお話はいつも楽しく聞けますね。(演劇学科2年 渡辺百桃)
『ギンイロノウタ』はプラトン的だと思った。是非読んでみたい。『ヘンゼルとグレーテル』は非常にグリム童話ですね。(文芸学科1年 小泉典子)
『ギンイロノウタ』読みたいと思いました。先生の紹介した文章は生理的にわかるなという部分がありました。純文学で女性はあまりいないので女性作家の純文学は初めて読むと思います。(演劇学科2年 米山愛美)
ヘンゼルの勇気とグレーテルのやさしさと父親の偽善と継母の冷血スペクタクル。(デザイン学科4年 橋口陽平)
先生の熱いマンガの説明が本当に楽しいです。内容より気になります。(演劇学科2年 生江美香穂)
小石をたどって返った家が神の家だったということを聞いて、すごく納得しました。(音楽学科2年 伊藤歩)
グレーテルは帰る家がなかったら、魔女になるはずだった、そう私は思う。魔女を殺せる者はまた魔女になる素質を持っているのだから。(文芸学科1年 角朋美)
冒頭の名前「有里」ですが、里=帰るべき場が「有る」と考えるとそれは女性の子宮ではないでしょうか。(文芸学科1年 武田寿正)
『ヘンゼルとグレーテル』はおとぎ話と思っていたので、怖かったが、実際のことを知れてよかった。キリスト教に関わっていることを知ってびっくりした。(デザイン学科3年 伊藤麻衣子)
グリム童話は昔よく読んだが、今日の話を聞くと180度見方が変わりました。次回も楽しみです。(演劇学科2年 若林亜貴)
『ギンイロノウタ』は読んでみたいと思いました。銀の棒とか扉とか不思議すぎる。他の人の世界観ってすごい。(演劇学科2年 細野まどか)
『ヘンゼルとグレーテル』の木こりは良い人のように感じていたが、それがくつがえされました。(演劇学科2年 竹田紗貴)
グリム童話は怖い。日本の童話や昔話はファンシーなものが多いのに、向こうの童話は子供向けじゃない。(演劇学科2年 岩崎恵子)
男の人ってずるいなと思いました。悪い役をなすりつけられた継母はいつもかわいそうですね。女はいつも損をします。(演劇学科2年 和氣麻里奈)
『赤ずきんちゃん』のそうですが、物語として書かれていない登場人物の行動やちょっとした台詞に本質的な部分が隠れているというのが面白く読むヒントだと思った。(演劇学科2年 赤星武)
『ヘンゼルとグレーテル』にも『銀河鉄道の夜』と同じような「死」と「神」が隠されていたことに驚きました。三限の授業で出てきた「誾」という色のイメージは、この授業で出てきた「石に月の光が反射した光」のようなものであればきれいだなと思いました。(文芸学科4年 櫻田真理)
最初に先生が話した『ギンイロノウタ』の感想で、女の人にしか分からないこととか、他人に心を閉ざした人間の話というのはきれいごとでは終わらないところが面白いですね。「身体感覚」というものも興味深いです。(美術学科4年 川名祐輔)
2008年11月17日
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