CONTENTS
- 「ZED」を観る
- 『清水正・ドストエフスキー論全集』関係
- 『清水正・ドストエフスキー論全集第二巻』の栞
- つげ義春・関係
- つしまみれ
- コント「清水正研究」塚本直毅作品
- ドストエフスキー関係
- ニュース
- マンガ論
- マンガ論二十一年度夏期課題
- 交友録
- 大学関係
- 学内散歩
- 学生通信
- 宮沢賢治関係
- 寺山修司・関係
- 小林秀雄
- 工藤訳『罪と罰』の問題点
- 我孫子の文化
- 文芸GG放談
- 文芸学科特別講座
- 文芸比評論
- 文芸研究実習Ⅰ
- 新刊案内
- 日本文学特論Ⅱ
- 林芙美子関係
- 江古田文学・関係
- 清水正が推薦する本
- 清水正の「文芸入門講座」
- 清水正のチェーホフ論
- 清水正のチャップリン論
- 清水正のドストエフスキー論
- 清水正の宮沢賢治論
- 清水正の志賀直哉論
- 清水正の文芸時評
- 清水正の遠藤周作論
- 清水正ゼミ(「文芸研究Ⅰ」)
- 清水正プロフィール
- 自動車部
- 落合尚之版『罪と罰』について
- 追悼 原孝夫・想い出のアルバム
- 追悼:野沢尚
- 雑誌研究
- 韓国ソウルで『冬のソナタ』を読む
- 鼎談 ドストエフスキーの現在 江川卓・小沼文彦・清水正
- D文学通信
Links
野沢尚氏の講演記録(10)
僕はサッカーが好きなんで、よくテレビの場合はサッカーにたとえるんですけれども、シナリオライターっていうのは10番の選手なんですね。トップ下の選手。主演男優と主演女優という2トップが前にいて、まわりに中盤の選手がいる。それで10番のトップ下のシナリオライターは、とにかく2トップにいいボールを出す、いいパスを出すというのが、シナリオメーカーの仕事なんじゃないかという風に納得して、テレビの仕事をやっています。
ちょっと時間がなくなってきたんで、本当はもっとテレビの場合についても話をしたかったんですけれども、まとめに入ります。シナリオライターにとって大切なことというのを、いくつか話したんですけれども、じゃあどういう風にしたらいいものが書けるんですかとか、シナリオ講座でも聞かれて、答えに困るんですよね。どうやら大切なのは、果てしなく続く連想ゲームをやることだという風に思っています。
どういうことかというと、ちょっと実例を挙げて話しますけれども、『眠れる森』というテレビドラマは、タイトルの連想から出てきたストーリーなんですね。当時まだ子供が小さくて、夜遅くに帰ってきて、子供の本棚を見たわけです。何かいいタイトルはないかなと思って。当時既に、木村くんと中山美穂っていう2トップは決まっていて、それで何かを作らなきゃいけないと。フジテレビのプロデューサーは、乱歩賞を獲った後だったから、ミステリーをやってほしいという、そういう枠組みだけしかなかったんですね。で、家へ帰って、子供の本棚を見たと。その前の年に『青い鳥』というテレビドラマをやっていたんで、児童文学でいいタイトルはないかなあと見ていたわけです。すると「眠れる森の美女」というのが目に止まって、これはいいかも知れないけれども、「美女」とつくのはいかにもだなあ、と。確かに中山美穂は美しいけれども、そこまでタイトルで謳う必要はないんじゃないかと思って。だったら『眠れる森』と縮めてみたらいいんじゃないかと。
要するにここから連想ゲームが始まるんですけれども、じゃあ、『眠れる森』というタイトルのつくドラマはどういうドラマなんだろうか。「森」というところからまず連想するんですね。森にはやっぱり癒しのイメージがある。当時「バスクリン」のコマーシャルで、森林の中にバスタブがあって、そこに浸かっているものもあったし。すると「癒し」のイメージから「脳」に行くわけです。「眠れる脳」というものは何だろうか。そうすると、それは記憶なんじゃないかと。すると主人公には過去にトラウマがある。ところがその眠れる記憶が、蘇ってくるんじゃないかと。過去が忍び寄ってくるとすれば、どのような過去なんだろう。殺人事件があって、自分の一家が殺されて、幼い主人公がそれを全部見ているんだけれども、そのショックで全部忘れてしまっている。それで十五年くらい経って、何かの拍子で記憶が蘇って、殺人事件の時効を迎えるその日がクライマックスというのを何となく思いつくんだけれども、十五年目に記憶が蘇ってきて、殺人事件の犯人が現れるんじゃないか、そういうストーリーなんじゃないか、と。それが『眠れる森』のストーリーの骨格なんですけれども、それがタイトルを見た後、一時間くらいでできたと思うんですけれども、そういうことを果てしなくやっていくことがまず大事なんですよね。映画でもニュースでも何でもいいですけど、とにかく引っかかったものから、連想ゲームをしていく。それがストーリーを生み出す一番大切なプロセスだという風に思います。
2004年7月 2日
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.shimi-masa.com/mt/mt-tb.cgi/171